商品やサービスの価値を引き出し、効果的な広告デザインを制作

グラフィックデザイナーとして印刷物・WEBサイト・看板・動画まで幅広く対応

 愛媛県伊予郡を拠点にして広告デザインを手掛ける「リールデザイン」代表で、グラフィックデザイナーの大槻一雅さん。

 リーフレットやチラシなどの各種印刷物、看板、店頭のポップ(展示物)、デジタルサイネージ(電子看板)、WEBサイト、動画など、さまざまな媒体に対応しています。

 「お客さまの商品やサービスの価値、ユーザーに伝えるべきことを吟味して、場所やタイミングも踏まえて効果的な告知・販売プランをご提案します。どんな宣伝方法が良いか分からないという方も、媒体選びからお手伝いしますので、お気軽にご相談ください」

 町内や隣接する松山市の中小企業、商店、クリニック、自治体、神社など、多方面に顧客を持つ大槻さん。

 以前、立ち上げたばかりの地元劇団からポスターとリーフレットの制作依頼がありました。文化庁の日本遺産に認定されている「村上海賊」を題材に、地元出身の映画監督が台本を担当した演劇「村上海賊記」の公演告知で、日に照らされた美しいの海の写真をメインに配して仕上げました。

 「舞台の台本を読み込み、構想を練りました。劇団の代表にデザイン案をお見せしたら『理想通りのもので驚きました』とおっしゃっていただき、修正もありませんでした。旗揚げ公演を広くお知らせしたいということで当初は緊張もしましたが、とても気に入っていただき、地域文化を盛り上げる活動のお役に立てて本当にうれしかったですね」

 大槻さんのもとには、「頭の中に描いていた画(え)をきちんと提示してくれる」という声が届き、新たなクライアントを紹介してもらうこともあるそう。

対話を重ねて広告の目的やターゲットなどを明確にしたデザインを創作

 顧客の思いに寄り添うことを何より大切に、丁寧にプロセスを重ねていく大槻さん。その背景には、過去の苦い経験があるそうです。

 「独立前に広告代理店に勤めていた頃は、営業担当者がお客さまからの要望を聞き取って制作部門に伝え、企画を練りラフ案を作るという流れでした。デザイナーである私がお客さまと直接お話しできないことで、コンセプトやイメージにどうしてもズレが生じてしまいます。もっとお客さまと向き合いたいという気持ちが強くなり、自分で事業を始めることにしました」

 オファーを受けた時点では、クライアントの考えや方向性などが固まっていないことも少なくありません。大槻さんは、潜在的なニーズを導き出すために対話を重視しています。

 「例えばイベントのチラシを作るなら、何を目的にして、どういう人たちを集めたいのか、参加した人にはどういったメリットがあるのか、ということをじっくりヒアリングして明確にしていきます。趣旨やターゲットが定まったら想像力を働かせ、ビジュアルを組み立てていきます」

 商品のプロモーション用のチラシや売り場のポップでは、デザインによってユーザーの購買意欲をかき立て、消費行動につながっていく過程が分かり、やりがいも大きいと言います。

 「言語化されていないものを引き出して具現化するのは大変な作業ですが、この仕事の面白さでもあります。『おかげさまでよく売れましたよ』というご報告をいただいくと、ほっとしますね」

デザインの力で地域の事業を後押し、みんなで笑い合いたい

 大槻さんは、高校のデザイン科を卒業後、企業で宝飾デザイン、看板作り、広告制作などに従事。多様な業種でものづくりを経験したのち、2005年に独立しました。

 こだわりのログハウスに構えた事務所から数々の成果物を納め、実績を積んできましたが、日々の学びも欠かしません。技術や発想を常にアップデートしています。

 「とにかく物を作ることが好きなので、スキルを身につける時間も楽しくて睡眠時間を削ってしまうほどです。デザインの世界は時代とともにどんどん変化しており、文字の配置方法や色使いにもはやり廃りがあります。世の中に生まれる新しいものや若いクリエーターの作品などをたくさん見て、自分の感覚が古くならないように努めています」

 リフレッシュするために始めた趣味のサイクリングも、業務に思わぬ効果をもたらしているそう。

 「休みの日にはよくマウンテンバイクで山道を走っています。必死にペダルをこぐのでとても疲れますが、脳内がリセットされ、突然、良いアイデアが浮かぶこともあります」

 日常の何気ない体験からも刺激を受け、広告の着想につなげている大槻さん。地域の事業を支えたいという一心で創作に取り組んでいます。

 「社名にある『リール』という言葉は、フランス語で『みんなで笑い合う』という意味です。ご縁のある人たちが苦心して作り上げている商品やサービスのPRを、デザインの力でお手伝いさせていただき、みなさまと笑顔になれたらいいな、という思いを持っています。ぜひ、当方へお声がけください」

(マイベストプロ 取材年月:2023年9月)